2015年度 第45回
天文・天体物理若手夏の学校

2015年7月27日-7月30日 @信州・戸倉上山田温泉 ホテル圓山荘(まるさんそう)

[主催]
天文・天体物理若手の会

[後援]
国立天文台、 京都大学基礎物理学研究所、 野辺山宇宙・太陽電波観測所、
宇宙線研究者会議、 光学赤外線天文連絡会、 理論天文学宇宙物理学懇談会、
日本天文学会、日本物理学会

[お問い合わせ]
ss15_info_[at]_astro-wakate.sakura.ne.jp
(_[at]_を@に変えて下さい。)


講演形式と諸注意

    講演形式は以下の3種類です。

    • a講演(12分間の口頭発表 + 3分間の質疑応答)
    • b講演(ポスター掲示 + 3分間の口頭発表)
    • c講演(ポスター掲示のみ)
    a講演、b講演の口頭発表では、プロジェクターを利用しての発表をお願い致します。

セッション

    8分科会に分かれてセッションを行います。
    ここではそれぞれの分科会について紹介しています。

    重力・宇宙論分科会


      タイトル一般相対論生誕100周年の今、我々はどれほど重力・宇宙論を解き明かしたか?
      座長団 池田大志(名古屋大学D1)、矢久間司(大阪市立大学M2)、小笠原康太(立教大学M2)、吉浦伸太郎(熊本大M2)、大下翔誉(東京大学M2)、打田晴輝(京都大学M2)
      紹介文 現在の宇宙論によると、我々の宇宙はインフレーションから始まり、ビッグ バン元素合成、初代天体形成、銀河形成、宇宙再電離期を経て、現在の色彩豊 かな宇宙へと発展してきた。このシナリオは宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) の観測や、宇宙の大規模構造の観測によって支持されつつある。一方でイン フレーションを含めた初期宇宙や、現在の宇宙加速膨張、宇宙再電離など個々 の問題には依然として謎が多い。これらの謎に挑むために、近年では、より 精密な CMB 偏光観測、HSC(Hyper Suprime Cam) を用いた SuMIRe プロ ジェクト、SKA に代表される 21cm 線観測などの次世代の観測が期待されて いる。また理論的な側面でも、新しい理論モデルの開発や、数値計算を用い た研究なども進められている。
      一方、こうした宇宙の研究に欠かせない重力理論自体の研究も進められて いる。その中には、インフレーションや現在の宇宙加速膨張などを説明する ために、従来の Einstein 重力理論に変更を加えた修正重力理論といった試み もある。こうした重力理論は、その非線形性ゆえ解析が難しく、現在でも様々 なアプローチで研究されている。これらの重力理論の検証のために、ブラック ホール周辺などの強重力場での天体現象の観測や、重力波の直接検出が必要で ある。重力波の直接観測はいまだ実現していないが、現在建設中の KAGRA などによる観測が期待されている。このような重力波観測が実現すると、重 力波天文学が拓かれ、今まで知りえなかった初期宇宙の様子も明らかになる。
      これらを踏まえた上で、本研究会では宇宙論・重力理論の研究の最前線で 活躍されている講師を招待し、最新の研究内容などについて講演していただ く予定である。また宇宙論・修正重力理論に興味のある学生を募り、研究内 容や勉強内容を発表・議論する場を設ける。この機会が、各々の研究をより 深め、見識を広める助けとなることを期待する。
      注釈 宇宙線としてのニュートリノは宇宙素粒子分科会で扱います。

      [振り分け基準]
      1. 無条件でM1を優先することはしない
      2. 研究背景が書かれているか
      3. 結果が具体的に記述されているか
      4. オリジナリティが明記されているか
      5. M1についてはレビューも可とするが、その場合には今後の自分の研究といかにして繋がるかが明記されているか
      キーワード 大カテゴリ:「重力理論」「相対論的宇宙論」「観測的宇宙論」「素粒子論的宇宙論」
      小カテゴリ:「Einstein重力」「修正重力理論」「量子重力」「ブラックホール」「重力レンズ」「重力波」「インフレーション」 「CMB(宇宙マイクロ波背景放射)」「大規模構造」「再電離」「ニュートリノ」「21cm線」「その他」


    宇宙素粒子分科会

      タイトル 観測、理論から宇宙線研究の最前線に迫る
      座長団 深見哲志(東京大学M2)、上山俊佑(千葉大学M2)、掃部寛隆(甲南大学M2)、堤陵(甲南大学M2)
      紹介文 地球に降り注ぐ宇宙線は、広大な宇宙空間を横切り、遠くかなたの様々な情報を我々にもたらしてくれます。「宇宙素粒子」とはニュートリノやガンマ線、ダークマターの正体となる新たな素粒子など、あらゆる観測粒子を扱う意味から名づけられています。宇宙線の研究は、宇宙線を発生させる天体についての情報を得られるだけでなく、伝播してきた空間の状態を知る上でも重要な役割を果たします。
      高エネルギー宇宙線の起源としては、超新星残骸(SNR)や活動銀河核(AGN)などが候補に挙げられていますが、 非常に高エネルギーの粒子を実現する物理過程については、未だ明確な解が得られていません。 また、ガンマ線バースト(GRB)のようにその正体が謎に包まれたままの現象も存在しています。
      現在、実験の面では、高エネルギー光子、ニュートリノ、ダークマターを観測する多数のプロジェクトが次々と始動されている上、ASTRO-H(X線)、CTA(ガンマ線)、IceCube、Hyper-K(ニュートリノ)等の大型プロジェクトが数年以内の観測開始を予定しています。一方理論の面では、観測事実に基づき未知の宇宙線の発生機構などに対して頻繁に新たなモデルが提唱されており、非常に活発な状況にあります。実験と理論の両面での発展により、多くの謎が解明され、宇宙線分野は今後飛躍的な進歩を成し遂げると期待されています。
      本分科会では、宇宙線に対する理解や興味を深め、観測・理論の分け隔てなく活発な議論や交流を行います。宇宙線に関する知識を今後の研究活動に役立てて頂くことを期待しています。
      注釈 宇宙線としてのニュートリノは宇宙素粒子分科会で扱います。
      コンパクトオブジェクトからの高エネルギー粒子の放射・伝播・加速機構に関しては宇宙素粒子分科会で扱います。

      [振り分け基準]
      • レビューとその他の区別はつけない
      • レビューの場合はM1を優先する
      キーワード 「ガンマ線(フォトン)」「ダークマター」「ニュートリノ」「宇宙線」


    コンパクトオブジェクト分科会

      タイトルコンパクトな領域に隠された神秘を探る 〜観測・理論研究の最前線〜
      座長団 小野光(東京大学D1)、岩佐真生(京都大学D1)、加藤ちなみ(早稲田大学M2)、笹平琳子(総研大M2)、倉持 一輝(東京大学M2)
      紹介文  宇宙には、地球上では実現できないほどの高エネルギーを、私達が観測して分かるほどの短いタイムスケールで放出する現象が数多く存在します。 これらは、中性子星やブラックホールなどコンパクト天体と呼ばれる、強磁場や強重力をもつ天体によって引き起こされると考えられています。このようなエキゾチックな現象のメカニズムの解明は、私達の全く予想できない新たな基礎物理学の発展につながる大きな可能性を秘めています。

       高エネルギー天体現象のメカニズムの解明のため、この数十年で様々な理論的なモデルの構築が行われてきました。 それと同時に電波からガンマ線までの広い波長領域での電磁波観測やニュートリノ観測の技術の発達により、我々は高エネルギー天体現象の解明へのステップを着実に歩んでいます。 近い将来には重力波による観測が開始され、ますます高エネルギー物理学の分野の活性化が期待される分野でもあります。  しかしながら、ガンマ線バーストや活動銀河核からのジェット、超新星爆発の爆発メカニズム、そして中性子星、ブラックホールといったコンパクト天体とそれらが起こす合体現象など、未だに多くの謎を残しています。 コンパクトオブジェクト分科会では、これらの高エネルギー天体現象について観測及び理論の両側面から最先端の研究結果、観測事実、将来性などを議論したいと思います。
      注釈
      • 超新星爆発や中性子星はコンパクトオブジェクト分科会で扱いますが、 激変星(新星や矮新星など)や白色矮星は太陽・恒星分科会で扱います。
      • 活動銀河核(AGN)のブラックホールとしての挙動やジェットに注目する場合はコンパクトオブジェクト分科会で扱いますが、 AGNホスト銀河やAGNと銀河の共進化については銀河・銀河団分科会で扱います。
      • 相対論の基礎理論に関する話題は重力・宇宙論分科会で扱います。
      • 重力波についての話題は、コンパクトオブジェクトの天体現象としての重力波に着目したものについてはコンパクトオブジェクト分科会で取り扱います。
      • 高エネルギー天体現象由来の高エネルギー粒子の放射・伝播・加速機構に関しては宇宙素粒子分科会で扱います

      [振り分け基準]
      M1の優先は行なうが、レビュー発表の場合は優先度は低い。ただし、そこから自分の研究目的につながっているような(新たな考えなどがある)場合は例外。
      キーワード 「ガンマ線バースト」「超新星爆発」「ジェット」「中性子星」「天体としてのブラックホール」「強磁場」「連星合体」「重力波」


    銀河・銀河団分科会

      タイトル観測と理論から解き明かす銀河・銀河団の謎
      座長団 山口裕貴(東京大学M2)、 日下部晴香(東京大学M2)、 白方光(北海道大学M2)、 満田和 真(東京大学D1)、 髙橋晴香(東京大学M2)、 仁井田真奈(愛媛大学M2)、 播金優一(東京大学M2)
      紹介文 新たな観測装置、大規模サーベイデータ、高性能な計算機により、銀河・銀河団の研究は目覚ましい進展が見られる。ALMA望遠鏡によって高感度・高分解能のミリ波・サブミリ波のサイエンスが切り開かれ、すばる望遠鏡/HSCの 運用開始により稀な天体の統計的解析や効率の良いサーベイが可能となった。TMTやASTRO-H等の次世代望遠鏡の運用を控え、銀河・銀河団の理解は今後も急激に進むだろう。
      このように多種多用な観測によって得られるデータとの比較を行うことができる理論的研究基盤も整いつつある。個々の銀河や銀河内の一部の領域については数値流体シミュレーションを用いて観測では分解が難しいコンパクトスケールの物理や、系の時間発展を予測できる。また宇宙論的流体シミュレーションや準解析的モデルの発展により特定の銀河種族に対する統計的研究も行えるようになってきた。
      銀河・銀河団の理解が日々深まっていくこの恵まれた時代において、銀河・銀河団全般に関して観測と理論の垣根を越えて知識の共有、活発な議論を行うことは、我々若手にとって大変有意義である。そのため、本分科会では、銀河系、近傍銀河、遠方銀河、AGN及び銀河団全般を扱う。また、招待講演では、国内外で活躍される理論・観測の研究者の方を1名ずつ招待し、最先端の研究を紹介して頂くので、ぜひ聞きにきて頂きたい。本分科会が参加者 同士の交流の場となり、今後の研究活動を広げる契機となることを願う。
      注釈
      • 降着円盤からのアウトフローは銀河・銀河団分科会で扱います。
      • AGNホスト銀河とAGNと銀河の共進化については銀河・銀河団分科会で扱います。
      • AGNのブラックホールとしての挙動やジェットに注目する場合はコンパクトオブジェクト分科会で扱います。
      • 球状星団を1つの系としてみる場合などは銀河・銀河団分科会で扱います。
      • 系外銀河内の星形成あるいは銀河系内のkpcスケールに関連する星形成活動は銀河・銀河団分科会で扱います。
      • Gpc 以上の大スケールの構造形成は銀河・銀河団分科会では扱いません。Mpc 以下のスケールの構造形成は、 その構造をトレースするものが銀河である場合(例えば銀河団、銀河クラスタリングなど)は銀河・銀河団分科会で扱います。
      • 銀河による宇宙再電離への寄与の議論は銀河・銀河団分科会で扱います。

      [振り分け基準]
      レビュー論文は優先度が低い
      M1の優遇は基本的には行なわない。ただし、独自研究の場合は優遇される可能性がある。
      キーワード 「銀河系」「矮小銀河」「近傍銀河」「遠方銀河」 「AGN (AGNホスト銀河、AGNと銀河の共進化)」「銀河群」「銀河団」「球状星団」「星形成(系外銀河, kpcスケール以上の系内星形成活動)」「銀河形成」


    太陽・恒星分科会

      タイトルFor Whom the Stars Shine
      座長団 加納龍一(東京大学M2)、 野津湧太(京都大学M2)、 兼藤聡一郎(中央大学M2)、 三宅梢子(中央大学M2)
      紹介文 近年の太陽・恒星研究では、数多くの新しい観測が計画・実行されてきています。 太陽研究に関しては、2006年から行われてきた日本のHinode衛星による太陽表面の微細構造の観測に加えて、SDO衛星による紫外線から極端紫外線における多波長でのフレア観測、2013年に打ち上がったIRIS衛星による紫外線分光観測などが多くの成果をあげつつあり、今年の夏にはCLASPロケットも新たに打ちあがります。また恒星研究においても、これまでのすばる望遠鏡やKepler衛星、国際宇宙ステーションに設置の全天X線サーベイMAXIの観測に加えて2013年には位置天文衛星GAIAが観測を開始し、今後は京都大学の3.8m望遠鏡やASTRO-Hによる恒星観測も期待されています。
      このように様々な観測データが得られることにより、太陽と他の恒星を関連付けた研究の重要性も増してきました。新たな観測と理論や数値シミュレーションの総合力をもって太陽・恒星ともに研究を大きく前進させる時期が来ています。
      本分科会では太陽・恒星の幅広いテーマを取り上げ、広い角度から太陽・恒星の全体像を把握することを目指します。 この試みにより専門分野を越えて多くの議論が行われ、知識の共有や新たな発見が生まれることを期待しています。
      さらに招待講演では太陽・恒星分野の第一線で活躍されている研究者を2名招待し、最新の研究を紹介していただきます。 最先端の研究を肌で感じ、参加者のさらなる研究意欲をかきたてられることでしょう。 皆が持っている太陽・恒星に関する知識やアイデアを結集し、本分科会が日本における太陽・恒星の研究をさらに加速させるエネルギー源となるよう期待しています。
      注釈
      • 激変星(新星や矮新星など)や白色矮星は太陽・恒星分科会で扱います。
      • 超新星爆発や中性子星はコンパクトオブジェクト分科会で扱います。
      • 水素燃焼が始まる前の原始星は星形成・惑星系分科会で扱います。
      • 水素燃焼しない褐色矮星は惑星系分科会で扱います。


      [振り分け基準]
      1. 論文のレビュー公演は歓迎するが、独自の研究発表に対しては優先順位が下がる。また、レビュー公演でも独自の考察があるものは、それがないものに対して優先度が上がる。(*よって、アブストラクトの段階で研究発表なのかレビュー公演なのか明記しておくこと。レビュー公演で独自の考察があれば、その点も明記すること。)
      2. 修士一年生の発表は、それ以上の学年に対して優先される。
      3. (1)で設けられた基準は(2)の基準に対して優先される。つまり、M1研究>M2以上研究>M1独自考察付きレビュー>M2以上独自考察付きレビュー>M1レビュー>M2以上レビュー
      キーワード 大カテゴリ:「太陽」「恒星」
      小カテゴリ:「太陽・恒星内部」「光球」「彩層」「コロナ」「太陽・恒星風」「ダイナモ」「プロミネンス」「フレア」「質量放出」 「主系列星」「惑星状星雲」「恒星進化」「脈動」「連星」「磁気リコネクション」「黒点」「磁場観測」


    星間現象分科会

      タイトルどんと来い、星間現象
      座長団 濱畑秀峰(鹿児島大学M2)、 切通僚介(大阪府立大学M2)、 鷲野遼作(京都大学M2)
      紹介文 星間空間には、原子ガス、分子ガス、電離ガス、ダストなど様々な状態の物質が存在しています。これらは加熱と冷却、磁場、乱流、重力相互作用、衝撃波、天体からのフィードバックなどの物理過程を経て、高温希薄なガス、低温高密度な分子雲、惑星状星雲、超新星残骸といった多彩な姿を見せます。さらにその過程で化学進化も生じることが考えられます。したがって、星間現象を理解することは物質の進化過程を理解することにつながります。そのため、系内を中心に電波、赤外線、可視光、X線、γ線など、多波長で観測を行うことで星間現象を理解する試みがなされています。今後はTMT(可視光、赤外線)、SPICA(赤外線)、ALMA(サブミリ)、SKA(電波)、ASTRO-H(X線)、CTA(γ線)などの次世代望遠鏡によってさらに進展することでしょう。さらに、理論分野からは高性能計算機を用いて、磁場の影響や分子雲の衝突、不安定性の非線形解析などの複雑なシミュレーションが行われています。
      多波長観測と理論を総合的に結びつけて考察することで、星間現象についての理解が深まり、さらにそれらは銀河や星のようなスケールの異なる現象の理解にもつながります。
      本分科会では、一般講演では多岐にわたる星間現象についての理解を目的に活発な議論や異分野との相互理解・交流を行います。 招待講演では星間現象の分野の最先端で活躍されている講師の方々を招き、この分野の面白さや最新の成果、問題点などについて講演していただく予定です。
      注釈
    • 星形成領域、分子雲は星間現象分科会で扱います。
    • 分子雲コア、アウトフローは星形成・惑星系分科会で扱います。
    • 超新星自身の研究はコンパクトオブジェクト分科会で扱います。

      [振り分け基準]
      M1をできるだけ優遇。M2以上のレビューは優先度低い。
    • キーワード 「星形成領域」「分子雲衝突」「星間乱流」「星間磁場」「ダスト」「超新星残骸」「惑星状星雲」


    星形成・惑星系分科会

      タイトル理論と観測が紐解く、星と惑星たちの物語
      座長団 上赤翔也(東京大学D1)、 芝池諭人(東京工業大学M2)、 杉浦圭祐(名古屋大学M2)、 野津翔太(京都大学M2)
      紹介文  本分科会では、分子雲コアからの星や原始惑星系円盤の形成、円盤内で起こる惑星形成を代表とする物理現象、太陽系内惑星&衛星、系外惑星の観測とその大気・表層環境に迫る理論研究といった、幅広い領域を取り扱います。
       これらの分野では近年観測技術・手法の進歩が著しく、赤外線・電波観測による円盤の非軸対称構造の検出や、多種多様な系外惑星の発見、系外惑星大気の分光観測、木星・土星の衛星の表層・内部構造の解明などの驚くべき観測結果が報告されています。特に昨年には、ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)による超高解像度観測でおうし座HL星(HL Tau)周りの円盤の鮮明なリング上構造が報告されたのも、記憶に新しいところです。
       一方で近年の理論研究の進展も見逃せません。例えばアウトフローや輻射フィードバックを考慮した星形成の3Dシミュレーションや、高空隙率ダストを経由した微惑星形成過程の解明、惑星の軌道進化・重力不安定などを考慮した円盤進化・惑星形成モデルの構築、中心星進化の効果なども取り入れたハビタブルプラネット(生命居住可能惑星)の存在条件の探索などが挙げられます。
       これら観測・理論の目覚しい成果は相互の進展に大きく寄与すると期待されるため、これからの星形成・惑星系分野において、観測と理論の緊密な情報交換が必要となることは疑いようがありません。ALMAの本格的な稼働を控え、また地球型惑星の直接撮像を見据えた光学赤外線・次世代超大型天体望遠鏡(TMT)の建設が本格的に開始された今、星形成・惑星系研究は新たな時代を迎えつつあります。本分科会に参加される新時代を担う皆様には、夏の学校での発表や議論を通じて観測や理論といった枠に囚われず視野を広げ知識を深め、今後の研究の発展と自身の成長のために役立てて頂くことを期待します。
      注釈 水素燃焼する質量の星は太陽・恒星分科会で扱います。
      サブpcスケールの分子雲コアやアウトフローは星形成・惑星系分科会で扱いますが、pcスケールの星形成領域や分子雲などは星間現象分科会で扱います。

      [振り分け基準]
      応募数が定員数を上回った場合、アブストラクトを参考に振り分けを行います。論文紹介よりも研究発表が優先されますが、独自の解釈・主張が成されている論文紹介ならば単なるレビューの場合よりも評価されます。また、論文紹介に関しては修士1年を他の学年に比べ優遇します。
      キーワード 大カテゴリ:「星形成」「惑星形成」「惑星科学」
      小カテゴリ:「分子雲コア」「アウトフロー」「原始星」「前主系列星」「褐色矮星」「原始惑星系円盤」「デブリ円盤」「太陽系外惑星」「周惑星円盤」「軌道進化」「巨大衝突」「太陽系内惑星・衛星」「惑星環境・惑星大気」「宇宙生物学」「惑星・衛星内部構造」


    観測機器分科会

      タイトル今後の天文学を担う
      座長団 花岡美咲(名古屋大学M2)、 佐藤真柚(首都大学東京M2)、 竹村泰斗(京都大学M2)、 今谷律子(大阪大学M2)、 中谷創平(埼玉大学M2)
      紹介文 「観測に用いる手段によって、宇宙の様々な描像を観る事ができます。今日の天文学は、電波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線、重力波、ニュートリノといった様々な観測手段を用いて、盛んに研究がおこなわれています。 宇宙を様々な角度から観測し、理解を深めるためにも、その手段となる観測装置や解析ソフトウェアの発展は必須となります。これら の観測装置や解析方法の発展が、様々な角度から宇宙を観ることを可能とし、新たなサイエンスを明らかにします。その解明の過程に は装置や解析方法の仕組みの理解は欠かせません。本分科会では、将来の天文学を支える観測機器の最先端の開発について、ハード ウェアとソフトウェアの両面から理解を深め、議論する場を設けます。また、衛星開発と地上観測装置の開発に携わる講師を招き、参 加者が装置開発の現状と今後について理解を深め、自らの開発のモチベーションを高める機会を提供します。様々な分野の今後の天文 学を担う研究者同士が交流し、有意義な議論ができることを期待しております。」
      注釈 装置開発に関するものは基本的に観測機器分科会で扱います。開発する装置が目指す科学目標に話の重点を置く場合は、 それに該当する分科会で扱います。

      [振り分け基準]
      開発している機器(レビューであれば対象としている機器)の新規性を理解していることを求める。 M1の優先は行わない。
      キーワード 大カテゴリ:「ハードウェア開発」「ソフトウェア開発」
      小カテゴリ:「電波」「赤外線」「可視光」「紫外線」「X線」「ガンマ線」「重力波」「その他」




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